最低限知っておくべき残価設定ローン(残クレ)の基礎知識

車の残価設定ローンの仕組みを知っていますか?メリットやデメリットもしっかりと理解して、失敗しない選択をしましょう。

残価設定ローンとは

車の購入費用の支払い方法として利用されるものの一つに、残価設定ローンがあり、残クレともよばれています。ローンの一種であり、融資対象商品について、あらかじめ一定期間経過後の残存価額を設定しておくことで、残存価額を差し引いた金額についてローン設定をおこないます。自動車ローンでは普及していますが、近年は住宅ローンについても、国土交通省が普及に向け、2021年度に民間の金融機関が参加するモデル事業を始めています。

残価設定ローンの仕組み

それでは残価設定ローンの仕組みをみていきましょう。

車両価格の決定

購入する車の価格を決定します。

残価の設定

ローンの契約期間(通常3~5年)終了時に、車の価値(残価)を予想し、その金額を設定します。この残価は、車の車種や年式、走行距離、利用条件などによって異なります。

ローンの支払い額

車両価格から残価を差し引いた金額が、ローンの元本となり、これに金利を加えた金額を毎月支払います。通常のローンに比べて、支払額が少なくなることが特徴です。

契約満了時の選択肢

契約期間が終了すると、以下の選択肢があります。

  • ・車を返却:残価を支払うことなく、車をディーラーに返却します。
  • ・新しい車に乗り換え:残価を使って新しい車に乗り換え、再度ローンを組むことができます。
  • ・残価を支払い、車を買い取る:残価を一括で支払うか、残価分をさらにローンで支払い、車を完全に自分のものにします。

上記を例で見てみると次のようになります。対象車両が200万円に対し、残価設定ローンのサービスを提供する会社が「この車の5年後の残存価値は50万円」とあらかじめ設定します。会社は購入者に対してこの5年間を150万円のレンタル料で貸し出しをおこなうイメージとなります。

この150万円についてローンを組み、支払いはローン会社への月々の割賦返済とし、たいていの場合、サービス期間終了後に商品を返却するか、残りの50万円を支払って買い取るかを選択することができます。

残価設定ローンのメリット・デメリット

メリット

月々の支払いが低く抑えられる

残価を設定することで、車両価格全額をローンで支払う必要がないため、通常のローンよりも支払いが少なくなることが多いです。

新車に乗り換えやすい

数年ごとに新しい車に乗り換えたい場合、返却や乗り換えがしやすいです。

設定残価が契約期間終了まで変動しない

残価設定ローンで設定した残価は、契約期間終了まで変動しないのが一般的です。基本的には、最終回の返済額が市場価格の変化によって変わる心配がありません。

デメリット

走行距離や状態の制限がある

契約時に設定された条件(走行距離や車の状態)を超えると、追加料金が発生することがあります。走行距離制限や車の事故や傷には気を付けて車に乗る必要があります。

最終的に支払額が高くなる可能性

車を買い取る場合、残価分を支払う必要があるため、最終的な総支払額が高くなることもあります。

金利が高いことがある

通常のローンに比べて金利が高い場合もあります。残価設定ローンの金利相場は3%~5%前後と、通常のマイカーローン(2%~4%前後)より高い傾向にあります。

返済期間が短い

一般的なカーローンの返済期間は3〜10年に設定されることが多い一方、残価設定ローンは3〜5年と短めな傾向があります。

車の所有権がない

所有権はディーラーにあり、自己資産にはなりません。

残価設定ローンの落とし穴

商品価値全額をローンで賄う通常のローンと違い、月々の支払額を低く抑えられる点がメリットとなりますが、最後の支払額が大きめに設定されていることが大きなデメリットとなります。サービス期間中は、車の所有権は常にサービス提供会社にあり、購入者にはありません。

それを明示していない広告があることが問題視されています。

また事故や日々の傷やへこみなどで、あらかじめ設定された条件よりも価値を落とした場合の清算によるトラブルが多くみられる場合もあるようです。