高級車の購入が節税対策になるって本当?そのカラクリとは

節税対策に高級車の購入が有効となる仕組みと注意点をまとめました。

車での節税対策のカラクリ

車を業務で使うことで、車にかかる諸経費を費用計上します。車を購入すると、自動車本体にかかる費用はもちろん、ガソリン代や駐車場代、車検代などの維持費、そのほかに税金などの費用がかかります。もしこれらの車にかかる費用が経費として計上されることで、経費が増えて所得が減ることになり節税になるのでは?ということです。

節税のポイント

所得が減る

所得が減れば税金が減りますが、場合によっては税率が減少します。所得税は所得が増えれば税率が高くなり、逆に減れば税率が低くなるという累進課税制度が適用されています。つまり節税をすることで税率が低くなるということになるのです。

減価償却

一般的に、車や機械など数年間使用できるような高額な資産すべてが、その時点で経費になるというわけではありません。このような資産は法定耐用年数で決められた期間で費用計上されることになり、これを減価償却といいます。主な償却方法は「定額法」と「定率法」の2つです。

定額法は耐用年数によって定額で減価償却費が計上されます。一方、定率法は購入した初年度に多額の減価償却費が計上されるという償却方法です。そのため、徐々に減価償却費として計上できる金額が少なくなります。

※法廷耐用年数とは

自動車などの資産には、法定耐用年数が定められています。例えば、耐用年数が10年の製品を100万円で購入した場合、100万円を分割して10年かけて合計100万円になるように経費に計上するのです。

新車の場合、法定耐用年数は6年と定められています。わかりやすく、600万円の新車を購入した場合では、6年かけて毎年100万円を経費に計上することに なります。毎年100万円を経費に計上できるのは、節税効果としては非常に大きいというこになります。

上記のポイントから、車は節税対策になるということになり、会社や個人事業主の節税として人気がある方法に高級車の購入があるのです。自動車は通勤や営業、接待ゴルフなど、事業に関係する目的で購入や使用した場合、事業遂行のために必要であると証明することができれば、必要経費として認められます。

経費にできる支出とは

では高級車の購入にあたり、経費にできる支出にはなにが該当するのかをみていきましょう。

自動車本体自動車を購入する際に本体にかかる費用です。新車でも中古車でも経費にすることができます。
自動車税毎年4月1日時点で、自動車の車検証上の所有者全員が支払う義務がある税金です。
自動車重量税車両の重さによって税額が変動するもので、自動車の新規登録や車検のときに、車検証の有効期間分をまとめて支払います。
ガソリン代ガソリン代は、車両費ではなく旅費交通費や消耗品費として計上される場合もあります。
各種登録費用運輸支局への車の登録費用や、ナンバープレートの取得費用などの登録費用です。
リサイクル費用(買い替えの場合)新たに車を購入し、これまでの車を自動車メーカーなどに引き取ってもらう際の費用は、経費として計上することが可能です。車の買い替えをする際は、その支出を経費に計上できるということになります。
代行費用各種登録費用(車の登録費用、ナンバープレート取得費用)や車庫証明の取得は業者に代行してもらうことが可能で、その代行費用も経費として計上できます。
自賠責保険料すべての自動車に対して加入が義務付けられている自賠責保険の保険料です。

高級車購入で最も節税できる方法

高級車を購入することでそれらにかかる費用も経費することができ、節税対策となることはわかりました。ところが節税対策には押さえておくべきポイントがあるのです。それらを紹介します。

新車よりも4年落ちの中古車

法定耐用年数によって新車よりも中古車のほうが耐用年数が短くなります。4年落ちの中古車の場合、法定耐用年数が2年となります。同じ購入代金の額でも、法定耐用年数が短ければ短いほど、1年度あたりの減価償却費額が大きくなります。

新車では6年かけて損金計上していくところを4年落ちの中古車を購入することで損金にできるスピードが早くなり、1年で全額損金にできるということになるのです。

車種を厳選

趣味嗜好の高いスポーツカーなどに比べると、ベンツやレクサスなどの高級セダンの方が、業務用として認められる可能性は比較的高くなります。

高級セダンは、代表者が通勤や支店の巡回、接待などに用いるものとして常識的な範囲内のものと判断されやすいからです。また価値が下落しにくい車種を選ぶことも重要です。

費用化した後に売却することを考慮すると価値が下落しにくい車種がおすすめです。人気のモデル、白や黒の人気カラー、人気のオプションが付いているなどがあげられます。

高級車の購入で節税対策する場合の注意点

事業や業務のために必要との説明ができないと、減価償却のルールに則って処理をしたとしても、税務署によって否認される場合があります。自動車の購入代金や諸々にかかる費用の経費計上が認められるには、事業の遂行のために必要なものと明確でなければならないからです。

車種がいわゆる高級車といわれる、フェラーリやBMW、ベンツといった高級外車については、なぜそのような車種でなければならないのかという理由を合理的に説明できなければなりません。高級外車に乗ることで威厳を、トレードマークとしてPR、などの理由ではNGであるということを覚えておきましょう。

また節税自体を目的として、不要な高級車をわざわざ購入している場合にも税務署からチェックされないよう注意が必要です。高級車を購入することでの節税には、さまざまな条件やルールがあることを忘れずにやみくもに高級車を購入することは控えたほうがいいでしょう。

まとめ

節税を見込んで自動車を購入することは可能です。さらに短期的な効果を期待するのであれば中古車がおすすめといえます。しかし、税金対策を意識するあまり、本来必要のない高級車にお金をかけることは意味がなく、税務署からチェックされる可能性もあるため、事業や業務で本当に必要と考えられる車を購入するようにしましょう。